最強の小悪魔

どうもタケシコです!
僕らが住むKIWICORRAL には、最強の小悪魔がいる。
彼女は、恐らくニュージーランド出身だろう。
凄く、かわいくて、そして、凄くツンデレなのだ。
僕は、1ヶ月前、KIWICORRALをでる際、彼女にお別れの挨拶をしなかった。
そんな彼女の最初の印象は最悪だった。

僕が、外のテーブルで夜飯を食べていると、彼女が、やってきて僕の夜飯を欲しそうに見つめているのだ。

僕が気づかないフリをすると、体を寄せてすりすりしてきた。

女の子に、そんなことをされたことのない僕は思わず、ソーセージを上げた。

しかし、その彼女は、見向きもしなかった。

彼女、好き嫌いが激しすぎるのだ。

野菜も嫌い。

肉もいいやつしか食わない。

自分がセレブだとでも思っているのか。

僕が、これ以上、食べ物をくれないと分かると、そそくさと彼女は、どっかに行ってしまった。

なんて、図々しい奴なんだ。

僕の最初の印象は、最悪だった。

そんなある時、僕等がテント内で映画を見ていると、彼女が入ってきた。

僕が食べていた、夜ご飯の匂いに気づいて、やってきたのだ。

僕が、慌てて追い出そうとすると、そうたろうが

「別にいいじゃん」

と言って、結局、三人で映画を見ることになった。

彼女は、その間もずっと頭をこすりつけてきて、おねだりを繰り返す。

僕は、たまり兼ねて、彼女に、鶏肉を上げた。

すると、彼女は、ペロリと平らげると、するりと帰っていった。

なんて、現金な奴なんだ。

言い忘れていたが、彼女は、4足歩行だ。

しかし、僕は、その時には、彼女はそういう生き物なのだと気づいていた。

猫に愛を求めてはいけないのだ。

あ。

「猫」って言っちゃった。

僕らは、彼女に「ニャン五郎」という名前をつけた。メスなのに。
僕は、その日ニャン五郎の事も忘れて眠りについた。
そして、次の日、暖かい太陽の光と共に目が覚めた。

清々しい朝だ。

そして、ふと横を見るとそこには

ニャン五郎がいた。

気持ち良さそうに寝ているのだ。

こ。

こいつ。

昨日は、飯食ったら、すぐに素っ気なく帰っていったのに、結局、オレのことが好きなのか?

そんなことを考えているうちに、なんか彼女を非常に愛おしく感じてきた。

僕は、その時、すでにニャン五郎によって骨抜きにされていたのだ。

か・・・かわいい。

僕は、ニャン五郎の虜になった。

次の日、僕はテント内でニャン五郎が来るのを心待ちにしていた。

ニャン五郎の為に夕飯の鶏肉を少しばかり、残していたのだ。

そしてニャン五郎はやってきた。
ニャン五郎は、いつも通り、頭を僕にこすりつけておねだりしてくる。

「おいおい。ニャン五郎。皆が見てる所でそんなことするなよ」

僕は、そんな気持ちになりながら、鶏肉を上げた。
すると、ニャン五郎は、それをペロリと平らげるとまだ欲しそうにおねだりする。

僕は、鶏肉を上げたい気持ちをぐっと抑え、我慢した。

これ以上は、彼女の健康に悪い。

彼女の為を思って厳しくあたる。それが、本当の愛というものなのだ。

すると、ニャン五郎は、貰えないと分かるとすぐに僕のテントを出ていった

ニャン五郎ー!!!

何故、僕の愛は君に伝わらないのだ!!!

まるで、恋愛経験ゼロの男が、セクシーな小悪魔に翻弄されているかのようだ。

すると。

そうたろうが言った。

「タケは、猫の扱いが分かってない」

そうなのか

そこから、そうたろうによる、猫の落とし方講座が始まった。

「猫は、かまってしまうとすぐに逃げていくんだ。近くに来てもあまりかまったら駄目なんだ」

なんて、上級テクニックなんだ。

そうたろうがプレイボーイに見えてきた。

そして、程なくして、ニャン五郎がまたやってきた。

そのまま、そうたろうの方へ行った。

すると、そうたろう。

ニャン五郎を抱きかかえ。

「ヨーシ、ヨシヨシヨシ」

ニャン五郎を激しく撫で回すのだ。

僕は、気づいた。

あ。

そうたろうもすでに骨抜きにされているのか。

ニャン五郎。

恐ろしい小悪魔だ。

ニャン五郎は、そうたろうの激しい愛撫に嫌気がさしたのか、テントを出ていった。

「ニャン五郎ー!待ってー!」

僕等は、ニャン五郎をまたしても口説き落とせなかった。

それからというもの僕のテントの入り口は、寒い日も、暑い日も雨の日もニャン五郎の為に開けっ放しにするようになった。

そうこうしているうちに、ようやく僕のアプローチが効いたのか、ニャン五郎は、僕のテントに入り浸るようになった。

しかし、僕らは、ネイピアに旅立った。

そして、 1ヶ月後、僕らは、KIWICORRAL に戻ってきた。

すると、ニャン五郎。

僕らを覚えていたのだ。

僕に気づくと激しく体を擦り付けて来るのだ。

寂しかったのだろうか。

あまりの可愛さに買ってきたばかりの魚をあげた。

ニャン五郎。

美味しそうに、食べるのだ。

そして、彼女は、満足するまで、僕に魚をおねだりした。

しかし、もうこれ以上 食べ物を持っていなかった。

すると、それが分かったニャン五郎は、そそくさと 僕のテントを去っていった。
なんて、 分かりやすい女なのだ。

しかし、そのサバサバした性格も含めて、彼女は可愛い。

そう。

最強の小悪魔なのだ。

僕のテント前で佇むニャン五郎

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